「すき家の味噌汁にネズミの死骸が――」という驚愕の情報がネット上を駆け巡ったのは、2024年1月のある朝のこと。
SNSや口コミサイトで拡散されたその写真には、誰もが二度見してしまうほどの衝撃が写っていました。
舞台は鳥取県にある「すき家 鳥取南吉方店」。
この一件が「なぜ起きたのか」「どうして誰も気づかなかったのか」「なぜしばらく公表されなかったのか」という多くの疑問を呼び起こしています。
今回は、この騒動の背景と原因、そして現代の飲食業界が抱えるリスクについて考察していきます。
騒動の経緯:口コミから始まった波紋
発端は、Googleマップに投稿されたクチコミでした。
あるユーザーが「たまかけ朝食を注文したら、味噌汁にネズミの死骸が浮いていた」と衝撃の内容を投稿。
さらに、その投稿にはネズミと見られる異物が写り込んだ画像も添えられており、たちまちSNSで話題となりました。
一部では「AI生成のフェイク画像では?」と疑う声もありましたが、のちにすき家側がこの混入事実を認め、謝罪文を公開。
実際に異物(ネズミ)が含まれていたことが確認されたのです。
なぜネズミが味噌汁に?混入の経緯
すき家側の説明によると、異物が混入したと見られるのは、味噌汁の具材を複数のお椀に事前に準備していた段階。
このうちの一つにネズミが混入し、それを従業員が提供前に確認しないまま客に出してしまったとのこと。
つまり、原因は「目視確認の怠り」と「事前の衛生管理の甘さ」が複合的に重なったものとされています。
混入のタイミングを明確に特定するのは難しいものの、店舗のどこかにネズミが侵入していたことは確かであり、店舗の建物にあった“ひび割れ(クラック)”などもリスク要因として挙げられています。
なぜ気づかなかったのか?“お椀の準備”が盲点に
多くの人が疑問に感じたのは、「あれほど大きな異物が、なぜ気づかれずに提供されたのか」という点です。
近年の牛丼チェーンでは、味噌汁はお椀に具材を入れたあとにサーバーから汁を注ぐという形式が一般的。
そのため、提供前に“ひと目”でも中身を確認すれば異常には気づけるはずでした。
にもかかわらず、それが行われなかったというのは、マニュアルの形骸化や日常業務のルーティン化による「確認漏れ」が背景にあると見られます。
これは、例えるならば「信号があるのに左右を見ずに横断歩道を渡るようなもの」。
いつも問題がないからといって、確認を怠ることがどれほど危険かを示す事例と言えるでしょう。
約2ヶ月間、なぜ公表されなかったのか?
さらに不信感を抱かせたのは、事件が1月に起きていたにもかかわらず、すき家側の公式コメントが出たのが3月だったこと。
すでに保健所への相談や店舗の一時閉店、衛生検査などは実施されたものの、一般消費者への発表が遅れたことで「隠蔽体質では?」という声も上がっています。
企業としては、事実確認や社内処理を経たうえでの慎重な対応だったと考えられますが、こうした危機対応の遅れは信頼失墜に繋がりやすいものです。
感想:信頼という「味」は、一度失うと戻らない
個人的には、すき家という身近な飲食チェーンで起きたこの事件に少なからずショックを受けました。
誰もが気軽に立ち寄れる“日常の味”に対する信頼感。
それが、一匹のネズミによって揺らぐという現実は、まさに「塩を一振り間違えただけで、料理が全て台無しになる」ようなものでした。
飲食業界において「清潔感」は味そのものと同じくらい重要です。
だからこそ、この一件がきっかけとなり、全体の衛生意識が一段と高まることを願いたいところです。
再発防止に向けた取り組み
すき家側は今回の件を受け、以下の対策を講じたと発表しています。
- 該当店舗の即時閉店と衛生検査の実施
- 店舗設備の修繕(ネズミ侵入対策)
- 全店舗への目視確認の再徹底指示
- 従業員への衛生管理教育の強化
また、保健所による現地確認後、数日以内に営業再開されており、現在は通常通り運営されています。
まとめ:誰にでも起こり得る「見逃し」が命取りに
「すき家・鳥取南吉方店」のネズミ混入事件は、衛生管理の基本がどれほど重要かを社会に示す警鐘となりました。
どんなに大手であっても、どれだけシステム化されていても、“人の目”による最終チェックの重要性は変わりません。
今回の件は確かにショッキングですが、それだけに“食の安心”を今一度見直す良い機会になったとも言えるのではないでしょうか。
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