2025年の世界バレーボール選手権で躍動する選手の一人、北窓絢音(きたまど・あやね)。攻守に渡る卓越したプレーで日本代表の中心的存在となっている彼女に対し、ある疑問がネット上をざわつかせました。
それが──
「北窓絢音の右肩にタトゥーがあるのでは?」
という話題です。
試合中に映る映像や写真で、彼女の右肩に見える黒い模様。初見ではタトゥーと思う人も少なくなく、SNSでもその真相をめぐって様々な憶測が飛び交いました。
しかし、この「タトゥー疑惑」の正体は、実はアスリートにとって非常に身近なものだったのです。
◆ 真実は「スポーツ用テーピング」
北窓選手の右肩に見える黒や模様のようなものは、結論から言えば、タトゥーではありません。あれはスポーツ用のキネシオテーピングによるものです。
バレーボール選手、とくにスパイクやサーブを頻繁に行うアタッカーは、肩周辺に大きな負荷がかかります。関節や筋肉の保護、疲労軽減、パフォーマンス維持などの目的で、多くの選手が部位に応じたテーピングを使用しています。
■ なぜタトゥーに見えるのか?
近年では、テーピングのデザインも進化しており、黒ベースや柄付きのテープも多数存在します。特に北窓選手が使用しているタイプは、黒地に斜めのラインが入ったスタイルで、光の加減やカメラの角度によって「刺青のように見えてしまう」ことがあるのです。
◆ 所属チームも真相を説明
この噂がネット上で広がったことを受け、北窓選手が所属するSAGA久光スプリングスの公式X(旧Twitter)アカウントは、2025年8月27日夜に反応を示しました。
投稿の内容は以下のようなニュアンスを含んでいます:
「映像では一見タトゥーのように見えるかもしれませんが、実際はスポーツ用テーピングです。選手のコンディション維持のためのケアです」
この投稿がきっかけで、誤解はある程度解消されたものの、それでも「タトゥーだったらどうなのか?」という文化的な議論も沸き上がることになりました。
◆ テーピングの重要性とその役割
スポーツの世界では、テーピングは単なるサポートグッズではなく、選手の命を守る道具でもあります。
■ 肩への過剰な負担を軽減
バレーボール選手は、腕を振り上げてスパイクやサーブを打つことで、肩の関節・腱・筋肉に大きな圧力をかけています。これが長期化すると、肩関節周囲炎(いわゆる四十肩)や腱板損傷、インピンジメント症候群など、深刻な怪我につながる可能性があります。
テーピングはこうした負荷を分散・吸収し、負担の集中を防ぐために施されているのです。
■ 筋肉の可動域をコントロール
ジャンプ時や着地の際に肩がぶれないようにするため、筋肉の動きを誘導する役割も担います。北窓選手のように、スピードと高さの両立を求められるアタッカーにとって、安定した可動域はパフォーマンスの維持に不可欠です。
■ 疲労回復の促進
テーピングは血流やリンパの流れを促す効果も期待されており、疲労物質の排出を助けたり、翌日のリカバリーをスムーズにするなどの副次的な利点もあります。
◆ 北窓絢音というアスリートの本質
「右肩の模様」だけが注目されていますが、本当に注目すべきなのは、北窓絢音という選手の実力と姿勢です。
■ 身体能力の高さ
182cmの長身に加えて、機敏な動きと抜群の反応速度。スパイクの打点が高く、ブロックを超えて相手コートへ叩き込むパワーは日本代表の中でも群を抜いています。
■ 守備面でも貢献
アタッカーでありながら、レシーブやブロックでも積極的に関与する「攻守に万能」なタイプ。1人で試合の流れを変える力を持っている選手です。
■ 勝負強さ
韓国代表とのネーションズリーグでは、彼女のサーブで6連続ポイントという記録を打ち立てました。苦しい場面でこそ力を発揮できるメンタルの強さも、彼女の大きな武器といえるでしょう。
■ 努力家な一面
高校時代から「泥くさくて誠実なプレー」に定評があり、華やかな代表の舞台に立った今でも、試合ごとに全力を尽くす姿勢を崩しません。浮つかず、自分をしっかり持ったアスリートとして、指導者やチームメイトからの信頼も厚いのです。
◆ 日本社会とタトゥー文化:誤解が生まれる背景
北窓選手の右肩が「タトゥーでは?」と話題になった背景には、日本における刺青への文化的な抵抗感も影響していると言えるでしょう。
かつては「反社会的勢力との関係」などのネガティブなイメージが強く、現在でも一部の温泉施設やジムなどではタトゥーのある人の入場が制限されています。
しかし、世界的にはアスリートのタトゥーはごく一般的であり、個人の自由や文化の一部として受け入れられています。
仮に北窓選手が本当にタトゥーを入れていたとしても、それは彼女の表現の自由であり、否定されるべきことではありません。ただ、今回のケースはあくまで「誤解」だったわけで、彼女自身が身体を大切にするあまりの“プロ意識”から来たケアが、文化的誤解を呼んでしまったとも言えます。
◆ 北窓絢音のプロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 北窓 絢音(きたまど あやね) |
生年月日 | 2004年7月6日(21歳) |
出身地 | 島根県松江市 |
身長 | 182cm |
ポジション | アウトサイドヒッター(兼ミドルも可能) |
所属 | SAGA久光スプリングス(V1リーグ) |
代表歴 | 2025年代表初選出。韓国戦で脚光を浴びる |
特徴 | 高さ、速さ、安定感、勝負強さ、誠実さ |
◆ まとめ:模様の正体は、努力の証だった
いかがでしたでしょうか?
- 北窓絢音選手の右肩に見えた模様はタトゥーではなくテーピング
- テーピングは、肩の負担軽減・パフォーマンス維持・ケガ予防のため
- 見た目の誤解が生じたのはテーピングのデザインとカメラの角度の影響
- 本当の注目ポイントは、彼女の努力・誠実さ・勝負強さ
誤解から話題になった「右肩の模様」ですが、それはむしろ北窓選手がどれほど身体と向き合い、競技に真摯に取り組んでいるかを物語る証だったのです。
これからも彼女のプレーと成長から目が離せません。バレーボール界の次世代を担う存在として、日本中が応援している選手です。
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