甲子園の大舞台で注目を浴びた日大三高のエース・近藤優樹投手。その投球技術だけでなく、試合中の態度や立ち居振る舞いにも注目が集まっています。
なかには「マナーが悪い」「ふてぶてしい」といったネガティブな意見がネット上で噴出し、炎上のような状況にもなりました。一方で、実際の彼のコメントや背景を知ると、見方がまったく変わるという意見も存在します。
本記事では、賛否が分かれる「近藤優樹の態度」について、多角的に分析していきます。
「態度が悪い」と言われるようになったきっかけは？
試合中の感情表現の強さや、ピンチの場面で見せる笑顔などが、「ふざけている」「真剣さが足りない」と一部の視聴者やネットユーザーに捉えられたのが批判の発端です。
特に話題になったのは、県岐阜商との対戦時、近藤投手が相手バッターの横山選手と対峙した際に見せた笑顔のシーンでした。観客席からは「不謹慎」と感じた人もいたようで、SNSでは「態度が悪すぎる」「あんな投手は見たくない」といった書き込みが相次ぎました。
また、Yahoo!知恵袋では次のようなコメントも見られました：
- 「チームの士気に影響すると思った。あの態度はいただけない」
- 「野球は個人競技ではなく団体競技。もう少し周囲を尊重する姿勢を見せるべき」
一方で、実際に野球経験のあるユーザーからは、
- 「気持ちはすごく分かる。感情が出てしまうのは仕方ない」
- 「若さゆえ。これから変わっていけばいい」
といった共感的な意見も投稿されています。
本人が語る「笑顔」の理由：ピンチこそ平常心を保つため
では、近藤選手本人はこの「笑顔」や態度についてどう捉えていたのでしょうか？
Number Webのインタビューでは、次のように語られています。
「去年の秋は応援の圧に呑まれて自分を見失った。だからこそ、今年はどんな場面でも楽しむこと、自分を保つことを意識していた」
つまり、試合中に笑顔を見せるのはふざけているからではなく、“自分のメンタルを保つ術”だったということです。
これはメンタルトレーニングの一種でもあり、緊張や不安がピークに達する場面でこそ、意図的にリラックスした表情を作ることで自分をコントロールしようとしていたのです。
また、近藤選手は身長171cm、球速も138kmと、物理的なスペックに特別な強みがあるタイプではありません。だからこそ、精神面でのタフさやコントロールが彼の最大の武器だとも言えるのです。
マナーや礼儀が問われる“高校野球”という文化
一部の批判が加熱した背景には、「高校野球」という舞台特有の**“清廉さ”や“謙虚さ”が求められる日本的な期待**もあるのではないでしょうか。
- 全力疾走
- 礼儀正しい所作
- 勝っても笑わず、負けても泣かない
こうした“理想像”に近藤選手のふるまいがそぐわなかったことで、違和感や反発を感じた観客がいたのも事実でしょう。
しかし、プロを目指す選手や、勝ち上がることを重視する学校では、精神力のコントロール方法が多様化しており、「無表情・無感情＝美徳」という価値観は、徐々に変わりつつあるのも現状です。
過去の苦い経験が“今のスタイル”を作った
近藤選手は過去、秋季大会で大きな失敗を経験しています。
二松学舎大付との準々決勝で、大量失点を喫し、試合をコールドで落とすという苦い過去です。
この試合について、彼はこう振り返っています：
「あの時は応援に飲み込まれてしまい、周りの景色も、音も何も聞こえなくなっていた」
この経験をきっかけに、「プレッシャーに負けない強さ」を自分の中で育てる必要を感じたといいます。
結果として、ピンチであえて笑う、観客の応援も“自分への声援”だと捉えるなど、独自のマインドセットを確立していったのです。
批判される「態度」＝自己表現の一部という見方も
試合中にピンチでも笑顔を見せるスタイルは、日本人の野球観ではやや異質に映るかもしれません。
しかし、海外ではメジャーリーガーが感情豊かにプレーする姿が一般的であり、パフォーマンス＝選手の魅力として肯定的に受け取られます。
近藤選手のふるまいを、「勝つための戦略」「自己管理の一環」と捉えられれば、態度が悪いという評価も、別の角度から再考する余地があるのではないでしょうか。
一方で「態度」がチームに与える影響も…
ただし、どんなに意図があっても、周囲の選手や観客が不快感を覚えれば、それはチームに悪影響を与えることもあります。
あるYahoo!知恵袋の投稿には、次のような厳しい声もありました：
- 「あの態度が流れを悪くした」
- 「相手を見下しているように見えた」
チームスポーツである以上、一人の振る舞いが周囲のモチベーションや空気感に影響を及ぼすという視点は、確かに無視できません。
今後、より高いレベルを目指すのであれば、「伝わり方」や「受け取られ方」への配慮も求められる場面が増えていくことでしょう。
結論：態度が悪いのではなく、“戦い方が違う”だけかもしれない
日大三高・近藤優樹選手をめぐる「態度が悪い」という評価は、確かに一部では存在します。
しかし、それが単なる不遜さや無礼ではなく、自己を律するための表現だったと知ると、見方は一変します。
彼は決してふざけていたわけでも、相手を軽視していたわけでもない。むしろ、自分の弱さを知り、それを克服するための独自のスタイルを構築していたのです。
批判も称賛もあるなかで、17歳という年齢でこのような“プロ意識”を持ち合わせている点こそ、近藤選手の真の魅力なのではないでしょうか。
編集後記：観る側にも“受け取る覚悟”が必要な時代
高校野球は教育の一環でもありますが、同時に真剣勝負のスポーツでもあります。
選手が全力でぶつかり合う姿を、ただ「態度が悪い」と一方的に判断するのではなく、その背景や意図を汲み取ることも、観る側に求められる姿勢かもしれません。
プレーヤーと観客が、より深いリスペクトでつながる未来を願って、この記事を締めくくります。
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