VTuber業界において、過去に多くのファンを魅了した名コンビの一つが、「しばみこ」として親しまれていた黒井しばさんとさくらみこさんの二人です。彼女たちのコラボ配信は、互いに異なる事務所に所属しながらも、ジャンルやスタイルを越えて高く評価されていました。
しかし現在、かつてのようなコラボレーションが見られなくなったことに対して、一部ファンの間で「不仲説」や「絶縁」といった憶測が飛び交っています。本記事では、彼女たちの関係性の変遷、ファンの声、噂の背景などを多角的に分析しながら、その真相に迫ります。
■ “しばみこ”の誕生と熱狂的な支持
2018年から2019年にかけて、VTuber業界は大きな盛り上がりを見せていました。その中で誕生したのが、「にじさんじSEEDs」出身の黒井しばさんと、「ホロライブ」0期生として活動を始めたさくらみこさんによるコラボコンビ“しばみこ”です。
もともとは、共にプレイしていたゲーム『GTA5』を通じて急接近。2019年初頭には「ゆるゆるバイトRP」や「新婚旅行RP」など、ロールプレイ形式の配信で大きな話題を呼びました。視聴者からの反応も非常に良く、「この二人の掛け合いは唯一無二」「まるで漫才コンビのよう」と絶賛されました。
二人はTwitter上でも頻繁にやりとりをし、互いの配信を応援する投稿も多く、「底辺VTuber同士」などと自虐ネタを交えながらも、実力と相性の高さを証明していました。
■ 突然の沈黙:表舞台から消えた“しばみこ”コンテンツ
しかし、2019年後半になると、徐々にコラボ配信の回数が減っていきました。そして2020年以降は、完全に公の場での絡みがなくなります。この急激な変化に、長年のファンたちは戸惑いと不安を隠せませんでした。
「何があったのか」「関係が悪化したのでは」といった推測が、匿名掲示板やSNSで急速に広がりました。その発端となったのが、2019年10月6日に黒井しばさんがTwitterに投稿した一言です。
「みこおへんじして 一回でいいからおへんじして」
この投稿は、ある意味で“サイン”だったのかもしれません。配信の直前、あるいは直後の混乱時に送った単なるメッセージと見ることもできますが、「なぜSNS上で呼びかけなければならなかったのか」という疑問を残しました。
■ GTA5の成功と“数字の壁”が生んだ格差
さくらみこさんは2019年後半から2020年にかけて、英語圏の視聴者に支持され、『GTA5』配信をきっかけに一躍有名VTuberの仲間入りを果たしました。ホロライブ自体がグローバル戦略を強化する中で、彼女の海外人気は極めて重要な位置づけとなっていきます。
一方の黒井しばさんは、着実にファンを増やしていたものの、同接(同時接続者数)や登録者数などの指標において、どうしても差が生まれてしまったのも事実です。これにより、運営側がコラボ相手に数字的な条件をつけるようになった可能性も否定できません。
仮にそうした“数字の格差”が無言の圧力となり、コラボを避けるような流れができていたとしたら、それはVTuber業界の構造的な問題とも言えるでしょう。
■ 過去動画の非公開化と“沈黙”が呼ぶ絶縁疑惑
ファンの間で「不仲」以上に衝撃を与えたのが、過去のコラボアーカイブの一部が非公開化されたという事実です。もちろん、著作権や楽曲の関係などでアーカイブが見られなくなることはVTuber界隈では珍しくありません。
しかし、「関係が良好であるなら、過去の共演を消す理由はないのでは?」と疑問を抱く声があがったのも無理はありません。このような**“見えない距離感”**が、「絶縁したのではないか」という憶測を加速させました。
しかも、その後に開催された黒井しばさんの3Dお披露目配信でも、さくらみこさんからの祝福やメッセージがなかったことで、さらに「やはり疎遠なのでは」という空気が強まりました。
■ 成長と引き換えに失われた友情?VTuber業界の厳しさ
ホロライブは2020年以降、急激なスケールアップを遂げ、海外ファンの取り込みや大規模ライブ開催などで忙殺される日々が続いています。さくらみこさんもその一翼を担う存在となり、活動の幅はYouTube配信にとどまらず、音楽、イベント、グッズ展開など多岐にわたります。
こうした中で、スケジュールの都合、企画の方向性、コラボ方針などが変化していくのは当然の流れかもしれません。
つまり、彼女たちの間に明確な「不仲」や「絶縁」があったわけではなく、お互いの立場や業界の構造的な変化によって、自然と距離ができてしまった可能性もあります。
数字、戦略、運営の方針、視聴者のニーズ──そういった「見えない壁」が、かつて親しかった二人の関係に静かに影を落としてしまったのではないでしょうか。
■ 本人たちは今、どうしているのか?
2025年現在、さくらみこさんはホロライブの看板ライバーとして、多忙な日々を送っています。音楽活動にも本格参入し、ライブイベントでは1万人以上のファンを集めるなど、その影響力は今や国内外に広がっています。
一方で、黒井しばさんもまた、独自のスタンスでファンとの距離を大切にする活動を継続しています。主にFF14や雑談配信などで、落ち着いたトーンの配信スタイルが支持されており、“癒し枠”として根強い人気を維持しています。
両者ともに、それぞれのペースで活動を続けており、「交わる必要がなくなった」とも解釈できる現在の状況。しかし、かつてあれほど親密だった二人の間に、完全な無反応状態が続いていること自体が、ファンにとっては違和感の象徴でもあります。
■ 絶縁は本当なのか?それとも噂に過ぎないのか
ここまでの流れを総合的に見ると、確かに“表向きの接点”は完全に失われていることがわかります。しかし、だからといって「不仲」「絶縁」と決めつけるのは早計かもしれません。
- 物理的な時間の問題
- 運営方針の変化
- コラボ対象の調整
- ファンの期待と現実のギャップ
こうした要因が複雑に絡み合う中で、単に「コラボしない=絶縁」というロジックは、やや短絡的な見方とも取れます。
むしろ、過去に築いた絆を否定することなく、現在の関係性を“沈黙”という形で守っている可能性すら考えられます。
■ ファンとしてできることは何か?
“しばみこ”というコンビは、間違いなくVTuber史における特別な存在でした。その関係が戻るかどうかは、本人たちと関係者のみが知るところであり、ファンが無理に復活を求めるものではありません。
しかし、思い出を大切にし続けることは、ファンにできる唯一の愛の形です。過去の配信を見返し、あの頃の笑いや感動を改めて噛みしめること。それこそが、二人が築いた時間を裏切らない行為だと言えるのではないでしょうか。
■ 最後に──“しばみこ”は、永遠にファンの心の中に
業界の成長、視聴者の拡大、数字競争、運営との距離感──VTuberという仕事は、想像以上に過酷で繊細なバランスの上に成り立っています。
そんな中で、“しばみこ”という奇跡のような関係が一時でも存在したことに、私たちは感謝すべきなのかもしれません。もしかすると、再びあの二人が笑い合う姿が見られる日が来る可能性はゼロではないでしょう。
それまで、静かに待ち、思い出を大切にし、彼女たちの活動を応援し続ける。それこそが、最も健全なファンの姿だと思います。

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