北海道・羊蹄山(ようていざん)のふもとに、突如として現れた白い大規模な建築物。それは美しい自然風景の中に突如出現した“異物”として、地元住民やネットユーザーの注目を集めています。
この建物の建設主とされるのは、中国系とみられる個人であり、工事は札幌市内の建設会社に依頼して進められていました。しかし、問題なのはその工事の過程——森林法に違反した無許可伐採が行われていたという点です。
この記事では、報道をもとに今回の事案の概要と疑問点を解き明かしていきます。
■ 羊蹄山の麓で何が起きているのか?
北海道虻田郡倶知安町(くっちゃんちょう)巽(たつみ)地区にて、緑豊かな森林を伐採して建設中の大きな白い建物が発見されました。周囲には木々の伐採跡が残っており、自然との不調和を印象づける現場となっています。
建設が始まったのは2023年ごろからとされ、長期的な開発計画だった可能性が高いです。
この建物の施工について、北海道の後志(しりべし)総合振興局が現地調査を実施したところ、森林法が定める範囲を超えて伐採を行っていたことが判明。結果として、開発業者に対して工事停止の勧告が出される事態となりました。
■ 中国系個人による建設依頼|札幌の業者とは?
報道によれば、この物件は中国系と見られる個人によって依頼され、札幌の会社が工事を担当していたとのこと。ただし、依頼者の氏名や企業名などの具体的な情報は、現時点で明らかにされていません。
このような背景が不透明なまま、森林法を無視する形で大規模な建築が行われていたことは、地域社会に大きな不安と波紋を呼んでいます。
※一部では「投資目的の別荘」や「リゾート物件開発ではないか」という憶測も飛び交っており、今後の動向に注視が必要です。
■ 開発業者の説明と道の対応
開発業者は道に対して、「建設しているのは戸建て住宅2棟分」と報告しています。しかし、実際に目にした建物の規模や外観からは、個人用の住宅としては異例の大きさであることは一目瞭然です。
北海道側は、開発業者に対して森林機能の回復に向けた**「復旧工事計画書」の提出**を求めており、違法伐採の影響を最小限に食い止めるための対応を進めています。
■ なぜ羊蹄山周辺が狙われた?背景にある“ニセコバブル”
倶知安町は、**世界中の富裕層から注目されている観光地「ニセコ」**に隣接する町です。とりわけニセコエリアは、ここ数年で外国人による不動産購入が加速し、「ニセコバブル」と呼ばれるほど高額取引が相次ぎました。
今回の建築物も、ニセコの影響圏内であることから、
- 投資目的での不動産取得
- 高級別荘としての利用
- 海外資産家の土地取得による“地固め”
といった推測がなされても不思議ではありません。
事実、隣接するニセコ町では「New World La Plume Niseko Resort」という中国系企業が建設を進めていたリゾート施設が経営破綻に追い込まれたというニュースも記憶に新しいところです。
■ 違法伐採は地域環境への深刻な影響も
森林法は、自然の保全と持続可能な利用を目的とした法律です。伐採には事前の届け出や認可が必要で、特に水源や山岳地帯の開発においては厳格な基準が設けられています。
今回のように、許可を得ずに伐採が行われると、
- 土壌の流出
- 動植物の生態系破壊
- 景観の損失
といった深刻な環境被害につながる恐れがあり、自然観光地としての価値にも影響を及ぼしかねません。
山は一朝一夕で再生するものではありません。数十年、あるいはそれ以上の時間がかかることも。こうした視点からも、今回の違法伐採は見逃せない問題です。
■ 今後の焦点|責任の所在と行政対応
今後注目されるのは、
- 建設を依頼した中国系個人の実名公表
- 札幌の建設会社がどこなのか
- 開発業者の復旧対応の実施状況
- 行政側の処分や再発防止策
などです。
北海道庁をはじめとする関係機関は、森林法違反に対してどこまで厳格に対処できるのかが問われる局面と言えるでしょう。
■ まとめ|“美しい日本の原風景”を守るために
羊蹄山は、蝦夷富士とも称される美しい円錐形の山であり、北海道が誇る自然の象徴です。その麓に、無許可で森林を削り大規模建築を進める行為が許されるはずはありません。
今回のケースは、単なる土地取引や建築問題にとどまらず、私たちが次世代に残すべき自然環境とどう向き合うのかという課題を突きつけています。
誰が建てたのか、なぜ無許可だったのか、そして今後どう修復されるのか——そのすべてに明確な説明責任が求められています。
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