高知県高知市にある高知高等学校の野球部で、ある男性コーチが生徒に対して**「殺すぞ」「なめとんのか」などの暴言を繰り返す様子を記録した動画**がSNSに拡散され、大きな波紋を呼んでいます。
映像はおよそ2分間にわたり、怒号が飛び交う異様な雰囲気の中で、退部届を突きつけて「荷物をまとめて帰れ」と詰め寄る様子がはっきりと収められており、ネット上では「体罰・パワハラではないか」「これは指導とは呼べない」など、批判的な声が相次ぎました。
この騒動を受けて、学校側や高知県高等学校野球連盟(県高野連)も調査に動き出し、すでに当該コーチは職務を外れていると報告されています。
■ 拡散された動画の内容と問題点
報道によると、問題の動画が撮影されたのは2024年10月ごろとされており、その内容は極めて過激なものでした。
動画に映っていた内容の一部を要約すると、以下のような場面が確認できます。
- コーチが生徒に対し、執拗に怒声を浴びせる
- 「なめとんのか」「殺すぞ」といった明らかな暴言
- 退部届を出させ、「帰れ、荷物をまとめろ」と追い詰める
- 周囲には他の部員がいたと見られるが、止める様子は見られない
これらの行為は、たとえ熱血指導であっても到底容認される範囲ではなく、生徒の精神的安全を脅かす行為であることは明白です。近年、スポーツ指導の現場では「怒鳴る・威圧する」スタイルが否定されつつある中で、このような指導は時代錯誤と言わざるを得ません。
■ コーチは現在「指導から外れている」
高知高校はこの件について2024年12月6日に県高野連へ報告。騒動が明るみに出た2026年1月には、該当の男性コーチはすでに現場から外されていると説明しています。
学校側は今後、さらなる詳細調査を行い、保護者向けに説明会を実施する意向であることも明らかにしました。事態の深刻さを受け、外部からの指摘や要望も多く寄せられている可能性があり、組織的な対応が求められています。
■ 高知高校野球部とは?名門としてのプレッシャーも
高知高校といえば、全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)に何度も出場経験のある私立の強豪校。地元でも名門とされ、プロ野球選手を輩出したこともあります。
その背景には、
- 地元からの期待
- 全国大会常連校としての重圧
- 部員間の競争の激しさ
などがあると考えられます。
こうした環境の中で、指導者がプレッシャーに押される形で“熱すぎる指導”に走ってしまう事例は、これまでも他の学校でも見られました。とはいえ、今回のケースでは生徒に対する精神的な暴力があまりに過激であり、到底見過ごせるものではありません。
■ SNSで過熱する「特定騒動」──危険なネット私刑
動画が広がるとともに、SNSではある“二次被害”が生まれ始めました。それが、「このコーチは誰だ」「名前は?」という人物特定の動きです。
X(旧Twitter)やInstagramでは、以下のような行動が見られました。
- 映像から学校名を割り出す
- 顔や声から本人を推測
- 指導歴などを元に個人情報を拡散
- 無関係な人物が誤って晒されるケースも
こうした行為は一種の「ネット私刑(リンチ)」とも言われ、問題の根本的な解決とはほど遠いだけでなく、誤情報による名誉毀損やプライバシー侵害という新たなトラブルを引き起こす原因にもなりかねません。
確かに、問題ある指導者は厳しく糾弾されるべきでしょう。しかし、それを誰でも見られるSNS上で行うことの危うさを、今一度認識する必要があります。
■ なぜこんな指導が起きるのか?背景にある「勝利至上主義」
今回の暴言騒動の背景には、いくつかの構造的な問題が潜んでいると考えられます。
① 勝たなければ評価されない空気
強豪校では「勝つこと」が当たり前とされ、それが指導者の評価に直結することも少なくありません。結果を出すことを強く求められる中で、指導方法が過激化してしまうことがあるのです。
② 上下関係の厳格さと密室空間
体育会系部活動には、長年培われてきた強い上下関係と閉鎖的な空間が存在します。指導者と生徒の力関係があまりに偏っていると、暴言やパワハラが起きても生徒が声を上げにくい環境が形成されてしまいます。
③ 指導者教育の不足
指導者自身が「どこまでが指導で、どこからが暴力なのか」という境界線を理解していない場合もあります。特に、旧来の「気合・根性型」教育を受けてきた世代では、怒鳴る・脅すといった行為を“愛のムチ”と錯覚してしまうこともあるのです。
■ 今後の対応は?教育委員会と学校の責任
高知高校、県高野連、そして高知県教育委員会には、今回の件に対する明確で迅速な対応が求められています。
今後予想される対応内容
- 保護者への経緯説明と謝罪
- 関係生徒へのメンタルケア
- 当該コーチの処分(懲戒など)
- 第三者委員会による再発防止策の検討
また、全国的にも注目されている事例である以上、単なる個別問題として終わらせず、教育現場全体の課題として位置づける姿勢も必要でしょう。
■ 同様の事件が後を絶たない理由
実は、今回のような暴言・パワハラ指導の問題は、2020年代以降も日本各地で発生しています。
- 東北の高校でコーチが部員に暴力、処分へ
- 関東圏の強豪校で監督が暴言指導、SNS拡散
- 九州の中学校で体罰発覚、教育委員会が謝罪
これらに共通しているのは、「問題が内部で処理されてきたこと」と「SNSが可視化の役割を果たしたこと」です。
つまり、「見えなかっただけで、ずっと存在していた」というのが現実であり、今回のケースも氷山の一角である可能性があります。
■ 最後に:教育とは何か、私たちが問われている
暴言動画という“証拠”があったからこそ表面化した今回の問題。だが、根本的な問いはそこではありません。
- 暴言がなぜ行われたのか?
- それを止める仕組みはなかったのか?
- 生徒の心は守られていたのか?
これらの問いに正面から向き合わなければ、同じことがまた別の学校で繰り返されてしまうでしょう。
教育とは、本来「恐怖で支配する」ものではなく、「信頼と尊重の関係性」を築くことにあります。今こそ、指導者・保護者・社会全体がその原点に立ち返るべき時です。
🔖 まとめ:騒動の本質は「暴言」ではなく「教育の在り方」
- 高知高校の野球部コーチによる暴言がSNSで拡散
- 問題の動画は「殺すぞ」「辞めろ」などの暴言を2分以上記録
- 学校側は既にコーチを指導から外し、調査と説明を予定
- SNSでは人物特定や晒し行為が過熱し、新たな問題も
- 背景には勝利至上主義や旧態依然の指導文化が影響
- 教育現場全体の再構築が求められている

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